お世話になっております。
 タヌキです。

 前回はフルローンでの不動産投資の注意点について書かせていただきました。


不動産投資するなら『不動産経営の知識』を他人任せにしてはいけない


 フルローンで不動産投資をする場合は、不動産の所有権が移転するまでにかかる費用の工面もよく相談しておく必要があります
 大抵はフルローン融資を受ける銀行から『つなぎ融資』を受ける場合が多いかと思いますが、その事務手続き費用や金利(ローン本体とは別建てで金利高め)は投資者の負担となるケースが多いです。
 ただ、そういう細かい話を認識していない投資者が結構多く、開始早々トラブル発生という事態も…

 不動産を運営していくのには、購入関係費用以外にも様々なお金が必要になります。

 勿論その中には税制上必要経費として計上できるものもあります。
 そのことを知らずに確定申告すれば、所得額が増えて余計な税金を取られることになってしまいます。
 不動産経営をするにあたっては、潤沢な運営資金のほかに税金についての知識が必須です。

 不動産投資を勧められる際に殺し文句ともいうべき『節税』を行うにしても、必要経費として計上できる項目を把握しておくことは欠かせません。
 
 今回は『不動産投資成功理論』を構築するのに必要不可欠な『不動産投資経営に必要になる経費』ついて書かせていただきます。

不動産001


不動産所得とは


 
 まず国税庁の認識として、不動産所得というものがどのようなものと定義されているのかを知っておきましょう。
 不動産所得とは以下のように定義づけられています。

総収入金額 ー 必要経費 = 不動産所得の金額

『総収入金額』と『必要経費』には何が含まれるのかを知ることで、『不動産所得』を導き出すことができます。

【総収入金額】

 総収入金額に含まれるものは国税庁で定義づけられており、下記のリストの通り『家賃』や『管理費』、『共益費』、『礼金』、『更新料』、『敷金の残金』などが該当します。

①家賃(賃料として設定している金額)

②名義書換料・承諾料・更新料または頭金などの名目で受領するもの
(入居者との契約時の礼金と呼ばれるもの、また契約更新時の更新料などが含む)

③敷金や保証金などのうち、返還を要しないもの
(敷金や保証金として受け取った金額は入居者に債務不履行がない場合は退去時に全額返還されます。
 債務不履行や敷金償却の契約により返還を要しないことが確定した場合には、
 その金額を収入として計上する必要があります)

④共益費などの名目で受け取る電気代、水道代、掃除代など
(物件賃貸契約上、『家賃とは別に管理費や共益費を設けた場合』の収入です)


計上できる代表的な8つの必要経費とは



【必要経費】

不動産投資に伴う代表的な経費は主に8種類です。

①税金
・固定資産税や都市計画税、不動産を購入したときの不動産取得税、また収入印紙代などの税金は経費になります。

②保険料
・物件に掛かる『火災保険』、『地震保険』など

 不動産投資をするときには、投資物件に火災保険を掛けないことはまずありえないでしょう。
 地震大国日本ですから、地震保険に入る人もいるでしょう。
 それらの『保険料』は経費に計上できます。

③管理会社への業務委託料
・『業務委託料』は不動産運営に必要な経費として認められます。

 一般的に大家さんは、賃貸物件は不動産管理会社に、家賃の数%などを手数料とし、トラブルの解決や清掃、家賃の徴収などを任せているでしょう。
 それらは必要経費の多くを占めており、自分自身で行うことが出来ればかなりの経費節減になりますが、副業レベルでは難しいでしょうし、そこまで出来るようでしたら「プロの大家さん」ということです。

④司法書士や税理士への報酬
・確定申告を税理士事務所に依頼する、不動産の登記を司法書士に依頼する、といった場合の報酬も経費になります。

 不動産投資の経営規模が小さいうちは、確定申告を外注契約するほどの余裕はないでしょう。

⑤減価償却費
・建物の購入にかかった費用を、この年数で割った金額を減価償却費として毎年、費用に計上することができます。

 建物には、構造や素材により、法律で耐用年数が設定されています。木造は22年、鉄骨造は34年、マンションで多いRC造は47年です。

 例えば、中古アパートの購入の際に起こりがちなのですが、築25年の木造建築物件はリフォーム済物件で新築同然の外観・内装であっても建物本体の価格は減価償却済ですから、物件購入額を全額減価償却費対象額として計算は出来ないということです。

 新築物件であれば、減価償却期間とローンの返済期間はおおむね一致するよう計算しますが、返済計画によっては減価償却が先に終わってしまうことがあります。
 この場合に注意しなければならないのは、税金の支払いが現金収支(キャッシュフロー)を上回ることが起こり得ることです。
 これを防ぐためには、「頭金を多く入れる」「減価償却が切れる年以降に物件を買い増す」俗に言う自転車操業などの方法が考えられます。「ローン返済の元本部分は経費にならない」ということをしっかり理解して意識する必要があるのです。

⑥修繕費(←一番計画通りにいかない)
・部屋の付属施設の故障はいつ発生するかわかりません。
 特に入居者のいる部屋で給湯器などの水回り関係の修理対応は待ったなし、
 モノによっては数十万円の出費も起こりえます。

・また、入居者が退去した場合も部屋のクリーニングは絶対必要です。
 これは、出入居の間隔が短いほど頻度は多くなります。
 (2年で退去されるか、10年いてくれるか…
  入居期間の長短にかかわらず、部屋をきれいに使ってくれているかも費用の多寡を分けます)

 時間とともに、部屋は必ず老朽化します。部屋の機能を回復させるための費用は、修繕費として経費にできるので、部屋のクリーニング代や壁紙の交換、給湯器やエアコンの交換などの費用は経費として計上できます。
 またマンションを所有しているときは、管理費として共用部分の清掃やメンテナンス費、修繕積立金として大規模修繕のための費用を毎月支払うことになりますが、これも経費にできます。

 ただし、機能を向上させるための設備の費用に関しては、修繕費として一括での経費計上はできません。固定資産と同じく、耐用年数の期間にわたって減価償却する必要があります。
 例えば、階段の修理は修繕費になりますが、階段を新たにつけた場合は修繕費になりません。
 ほかにも、壁紙や床板の張替えも修繕費として計上できますが、間取りの変更などは機能向上のための費用にあたるため修繕費には含まれないので注意が必要です。

⑦ローン金利
物件を取得するために受けた借入金の金利は経費とすることができます
・また、ローンの融資を受けた年の手数料も経費になります。

 ローンの融資を受けて物件を購入した際には、毎月決まった額の返済をしていきます。
 そのなかでも返済する金額の何割かは借入金の元本ではなく、金利です。
 年末に融資を受けた金融機関から送られてくる返済表には、それぞれ返済金額の借入金と金利の内訳が書いてあります。
 元本は経費にあたりませんので、そのあたりはしっかり認識しておいてください。

 例えば、1月1日に1万円を3%で借りて、12月31日に利息を付けて1万300円払ったとします。この場合は、経費として不動産所得を減らすことができるのは、利息部分の300円のみです。

 もし、借入時に手数料として100円を支払っていたら、この手数料も経費にできます。ローンの返済方式には元利均等返済方式と元金均等返済方式の2種類があります。
 前者は返済額が一定なのですが、その中で利息と元本がそれぞれに占める割合が毎月変わるため、正確に計算するのは困難です。金融機関が発行する返済明細表などで金額を確認しましょう。

⑧その他
・物件を視察にいった場合の交通費
・不動産投資に関しての勉強にあたって本を購入した際の書籍代
・物件視察訪問先の不動産屋への手土産代、などは常識の範囲内で経費にできます

 ただし経営規模に比べて、あまりに交通費や交際費の頻度が高い、金額が多い場合は税務署のチェックが入ります。


不動産投資の成功理論とは


 不動産投資で資産ウン億円、投資利回り10ウン%など景気の良い話を聞きますが、不動産所得を成功させるか否かは

 ①総収入額を多く(初期計算設定家賃の維持・入居率の維持)
 ②必要経費を少なく(設備の耐久年、入居者の出入り頻度・モラル、事故物件の発生など運任せの要素もありますが…)

 にかかっています。

 入居者が絶えない良い立地の良質な建物を安く手に入れて、入居者に丁寧に長く住んでもらう。
 ということが、不動産投資成功理論』になります。

 節税とかいろいろなテクニックも存在はしますが、基本的に
  ①総収入額>②必要経費
 とならない限り投資としては、絶対に成功しません。

 不動産投資をしようと決断したのであれば、
  ・契約内容の詳細の確認
  ・資金(返済)計画の精査
  ・長期にわたる現金収支(キャッシュフロー)の管理

 これらを、「自力で勉強」するか「必要経費の増額覚悟でプロに任せる」かしていかなくてはなりません。

 自分の信用を使って銀行から借りた借金を『不動産投資会社に(物件購入から管理まで)全部任せる』という行為は、『退職金全額を、銀行おすすめの投資信託を紹介してもらい購入する』のと何ら変わらないリスキーな行為です。

 以上の点から、『不動産投資で不労所得を得られるという考えはタヌキ的にはあり得ない』と考えています。
 現在、世界的に株価が暴落しているところですが、やりようによっては米国株購入のほうがよほど『不労所得』と呼ぶにふさわしいでしょう。
 だたし「米国株を買うから融資してくれ」と言っても、数千万のお金を融資してくれる銀行はまずないのでしょうが…
 個人投資の範疇では『投資資金』という名目で銀行から融資を受けられるのは『不動産投資』ならでは…ということですね。


※投資は自己責任で無理のない範囲で行いましょう
 タヌキは不動産投資自体を否定する考えはありません。
 誤解の無いようにお願いします。 
 

 ではタヌキは巣穴に戻ります。
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