今回は、アパート経営についてのお話を。

 

 昨日書かせていただいたとおり、狸の両親はすでに他界しており親戚などの集まる機会では、家の代表として、ご高齢の叔父叔母などの中に混じって、黙々と飲み食いしていたりします。

 時々話を振られるのですが、大概は健康問題(どこかいい病院を知らないか)や役所などの手続き関係(こういう手続きをしろと言われたけど、どこでどうやったらいいか)の相談事だったりします。

 

 

 そんな中で異色な話がありました。

 

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 叔父:
「うちの畑にアパートを建てて、アパート経営をしないかという話があったんだがどう思う?(契約や諸手続き関係をやってもらいたそうな顔)」

 

 あら、うちの身内にまでこんな話が出てくるとは・・・

 

 狸:「土地を活用しないのはもったいない、安定した家賃収入が入るし相続対策になりますよ」って言われたんでしょう。

 

 叔父:そうだ

 

 狸:「管理もうちの関連会社で面倒を見ますし、万一入居者がいなくても家賃保証制度がありますから、安心してください」って言われたんでしょう。

 

 叔父:見てたように言うなぁ。お前(狸)の知り合いか?

 

 狸:断じて違いますっ!!次に、会う約束をしているようならすぐ断ってください
   身内に先祖伝来の土地を・・・云々で大反対されたと。


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「投資は自己責任」とはいえこれはあんまりです。


 狸の里は、近くに入居者がいそうな工場も、学生の入居が期待できる大学などの学校もありません。
 近所に、生活に便利なスーパー、コンビニもありません。

最寄り駅(昼間は1時間に1本くらい)まで車で15分かかります。

 

 想像してみてください。「畑の中にぽつんと立つ1棟の新築アパート・・・」

正直、あなたなら入居しますか?


 

こういった不動産経営には家賃保証という話が必ず出てきますが、大概小さい字で「○○年毎に更新」といった規約が付帯されていたりします。

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 不動産経営については、家賃収入のみでプラスになることは、ほどんどありません。

 「新築時の家賃で永遠に入居者を確保できる(しかも満室経営)」という幻想は持たない方がいいでしょう。

 また、契約前の説明でよく提示される想定家賃収入(家賃単価・想定入居率)はかなり盛られています。

○○年で建築費は回収できてあとはお金が勝手に入ってきます・・・」といわれることが多いですが、最初の建築費の中には約束された家賃保証分が含まれているため、(建物品質の割には)高い建築費を払ってのスタートになります。

実際のところ「家賃保証」で頂けるお金は「建築費」として会社側に支払済み分を返還しているに過ぎないのです。

このため、すでに建築費を受け取った「会社側」は家賃を下げることで家賃補償額を縮減したいですし、あわよくば家賃保証契約を解除したいと考えるのです。

でも、管理契約や修繕費はしっかり取りに来ます。

 

木造建物の税法的な耐用年数は22年、下がっていく家賃収入でそれまでに建築費を回収して更地に戻せるだけの収入が見込めるでしょうか。
 それが出来なければ22年後、出し殻のような「ボロアパート」をババ抜きのジョーカーのように抱えるこむことになります。

 

 最終的に中古アパートとして売れるかどうか、という部分が出口戦略として考えられますが、日本の将来(少子化・地方の過疎化)を考えると、よほどの大都市中心部でないと買い手なんていません。

 よかれと思って相続対策を講じたつもりが、将来「負の遺産」として子孫を苦しめていくことになります。

 

 お盆で親戚一同、勢揃いの時期でもあります。

 「お金の話」はなかなか話題に出来ない(「遺産目当てか)と誤解されかねない)ところでしょうが、当ブログを出汁に、こんな話もあるけど大丈夫だよね。

 と、オレオレ詐欺への注意と併せて確認してみてください。

 

 ※今回の話は、ブログ管理者の実体験も含めて掲載しておりますが、特定の会社を誹謗・中傷する意図はございません。


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