先週書きたかったレオパレス21について書いてみようと思ったのですが、ネタが多すぎてコンパクトにまとめることが出来ませんでした。

すでにタヌキの過去記事をご覧の方は「ひょっとしてタヌキは、不動産投資が下手だから悪口を書いているんじゃないか?」と想像されている方もいらっしゃるかもしれません…
タヌキは「不動産は投資ではなく経営事業だ」と頑固に主張する派なので、昔ながらの『大家さん業』が王道だと思い込んでいるところはあると思います。
『大家さん業』は、入居者が入る物件を『所有・管理・運営』していく事業
だと考えているので、(入居者が入りそうもない畑の真ん中で)『サブリース』を餌にした『不動産投資』という概念を未だに理解できないのです。

なので、お気に障る内容でしたら「不動産投資下手どころか『素晴らしい不動産投資』を全く理解できず、この程度の認識しかないかわいそうなタヌキ」と憐みの目で見ていただけますようお願いします。
タヌキは悪口は書きませんよっ!

レオパレスの営業システムは完璧すぎて、コンプライアンスが崩壊しても止まらなかった


レオパレス
21はアパート建築を地主に提案し、その地主がオーナーとなった物件を一括借上げして30年間家賃収入を保証する「サブリース契約」を武器に成長してきました。

レオパレス21

その営業スタイルは、まずはアパートが建設できる土地と地主を探し、猛烈なアプローチを仕掛けるというもので、首都圏などの土地情報に強く、地元の不動産業者との間で強い関係を築いてアンテナを張っています。

レオパレス営業担当者が不動産業者から「あそこの土地はアパートが建設できるよ。地主はAさん」などという話を仕入れて来るのです。

事前に下調べしてから来ますので、『強い意志を持っていないと、つい契約してしまう』くらい巧みな営業をかけてきます。
 

ビジネスモデルとしては、オーナーから建築費をもらい、アパートを建築したあと、アパートの管理を一括して行います。


レオパレス
21でアパートを建設すると、地元の工務店に発注するよりも安くすむといわれています。

材料は全国分一括仕入れ、エリアごとに『特約の行政書士』が建築許可手続きなどを行い、『特約の工務店』が流れ作業のように工事を行うため安く済む…ということなのですが、『界壁施工不備』に見られるように、レオパレス21社側が『コンプライアンスよりコストと利益を重視する方針』に向かった場合、大口に雇われている『行政書士』や『工務店』は(実際そうだったように)黙って従うしかないでしょう。

サブリース方式は任意契約条項…しかし保証される家賃は減らされる一方

よくある『アパート投資会社』では、建築後の管理方法については、3通りの選択肢からオーナーが選ぶ形になっています。

①一括借り上げ方式(オーナー負担 月額家賃の10%~)
  ・入居者募集
入居者選定、入居契約・更新
  ・賃料設定
  ・家賃収納、クレーム対応、退去対応
  ・家賃保証
  ・設備・管理基準設定、建物管理

※メンテナンスはオーナー負担
 建物保証は、建築会社・工務店負担

このサブリースと呼ばれる一括借り上げ契約方式では赤文字の箇所が巧妙に組まれているのです。

入居者募集

  • 入居者募集をしなくても入居者が出る優良物件は入居者募集が必要ない
  • 満室経営を約束するものではないので、入居者募集は形式程度でよい。最初のうちはオーナーはサブリースで賃料分が入金されている(と信じている)ので特に文句はない

賃料設定

  • 入居者が少ないと、「家賃を下げて入居者を募集しましょう」と会社から申し入れがあります。サブリース契約で家賃設定を会社委託しているので、オーナーは逆らうことが出来ません。オーナーが逆らえば、喜んで契約解除して逃げてしまうでしょう

家賃保証
  • 建物を建てる建築費のなかに、家賃保証分を見込んでいるので会社は慌てません(勿論自然に満室になれば、保証を出さなくていいですから嬉しいのですが)
  • 入居者が見込めない物件の場合は、会社的には『サブリース契約を早めに解除する』

メンテナンスはオーナー負担
  • 壊れた設備の修繕、更新、退去後の清掃などはオーナー負担ですが入居者がいないと「○○を最新の型のものに入れ替えましょう」とか「外壁を塗りなおしましょう」とか次々に提案(要求)がでてきます。当然費用はオーナー負担…オーナーが拒否すれば「入居者が来ないのはオーナーの設備更新が悪いから」と、さらに家賃(保証)を引き下げるか、最悪契約解除のカードを切ってきます

建物保証は、建築会社・工務店負担
  • 今回の大量施工不良は全国的に対象物件が発見されていることから、誰が見ても『アパート投資会社』の責任にみえるのですが、ここでも契約上は『建物を施工した建築会社・工務店』になるように出来ているのです。(あとは社会通念上の責任程度でしょうか…)

この選択肢を選んだオーナーの末路を図にすると
こんな感じになります【過去記事の資料を再掲】

20180814_zu
②管理委託方式(オーナー負担 月額家賃の5%~)
  • 入居者募集入居者選定、入居契約・更新
  • 賃料設定
  • 家賃収納、クレーム対応、退去対応
  • 家賃保証
  • 設備・管理基準設定、建物管理

※メンテナンスはオーナー負担
 建物保証は、建築会社・工務店負担

契約内容から一括借り上げが無くなり、一般的な物件管理項目に収まりました。
『家賃収納、クレーム対応、退去対応、建物管理』は、街の不動産屋さんや管理業者に委託できる業務です。

建物建築費に含まれている、『サブリース準備金』『アパート投資会社』の利益として確定されます。
オーナーはその分の恩恵にあずかることはできません。


③自主管理委託方式(オーナー負担 手待ち時間)
  • 入居者募集入居者選定、入居契約・更新
  • 賃料設定
  • 家賃収納、クレーム対応、退去対応
  • 家賃保証
  • 設備・管理基準設定、建物管理

※メンテナンスはオーナー負担
 建物保証は、建築会社・工務店負担


ここまで出来れば、プロの大家さんです。
建物建築費に含まれている、『サブリース準備金』
『アパート投資会社』の利益として確定されます。
オーナーはその分の恩恵にあずかることはできません。

②③を選択できるオーナーであれば、
『アパート投資会社』とサブリース準備金を含んだ建築契約を結ぶよりは、他の会社(建築会社・工務店)と建築契約を結んだほうが、建築費と比べて、かなり質の良い建物を建てられるでしょう。

しかし根本的な話ですが、②③を選べる人なら
『アパート投資会社』から声を掛けられる前に良いアパートを建てていることでしょう。
自分が所有する土地にアパートを建てて、採算が取れるのか考える。もしくは誰かに相談する必要を感じることも出来ると思います。

残念ですが『アパート投資会社』の営業にのってハンコを気軽に押して、アパートを建ててしまうオーナーは皆①を選択してしまうのです。

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【損失補填はない】レオパレスオーナーたちは何故、「自分達オーナーを救ってくれ」ではなく、「レオを救ってくれ」と訴えるのか?


レオパレスは2017年から一部オーナーからの訴訟が相次ぎ、業界2位の有名企業でありながら、満身創痍の状態です。

レオパレスオーナーのほとんどは『①の
一括借り上げ方式』で「建築後30年間、レオパレスとお付き合いを続けたい」と考えています。

もともと『入居者が見込めないような立地』にアパートを建ててしまっているオーナーも多く、今回一連のコンプライアンス違反でレオパレスが倒産してしまっては(自分でアパート経営が出来るはずもなく)路頭に迷うわけです。

レオパレスのアパート約39,000棟のうち、全国の自治体が天井裏(だけ)について14,000棟を調査したところ、173自治体にわたり
1,895棟について建築基準法違反が確認されたそうです、これは調査物件の13.5%にあたります。

レオパレスが公表した対応方針通りに、みんなが文句も言わず従ったとしても

  • 住民14,443人を引っ越しさせる
  • 現在判明している最低数1,895棟の物件を建築基準法に沿うよう補修する
  • イメージダウンによって入居者が退去してしまった物件と補修の終わった物件に入居者を戻す

と膨大な作業と、費用がかかります。

レオパレスの記者会見が行われた2月7日時点で、自己資本1,069億円、現金貯金892億円とのことです。
レオパレスは補修工事費等々を特別損失として計上するため、2019年3月期の連結純損失が388~400億円となる見通しだとしています。

2018年9月中間決算では、5月に発覚した界壁に関する『建築基準法違反への対応』を特別損出に計上、純損益58億円と赤字企業に転落しています。

今後の情勢次第では、レオパレスは本当に倒産しかねません。
不動産経営など考えたこともなく、ただレオパレスの言うがままにアパートを建てれば、儲かると洗脳されてしまったレオパレスオーナー達は、自力で不動産経営をするなど考えたこともないのでしょう。

レオパレスオーナー達は、レオパレスが倒産した後、何をどうすればいいのかすらわからないのです。
レオパレスオーナー達は『入居者のいない立地に建ててしまったアパート』に、サブリース家賃保証がなくなってしまうのでは困るのです。

レオパレスオーナーたちの一部は、(建築許可を通した責任を取らせ)レオパレス存続のための支援を行政に求めているとのことですが、アパートに投資?をした責任は当然ながらオーナー自身にあり、『自己責任』となります。


タヌキはお客さんの相談を受ける際にお客さんが不動産投資をされているようなら、必ず現地確認をするよう心がけています。
投資した不動産が、今後負担になる可能性が感じられれば資産形成のブレーキになると警告しています(それをどうとらえるかはお客さん次第…)。

警告を受け止めてくれたお客さんの『後処理のお手伝い』をしたこともありましたが、かなり苦労しました。負動産の処分は大変なのです。

これまで見させてもらったアパート投資物件のほとんどは、おおむね業界トップ2社で販売されている物件だったりします。
レオパレス21は業界2番手で、タヌキにとっては警告対象となる物件が非常に多かったです。
1番手の○○○○の物件もなかなかに…
機会があったら、話の続きを書かせていただきます。

過去記事はこちらをクリック → 不動産関係過去記事一覧

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