ソフトバンクグループ(SBG)傘下の携帯電話事業会社ソフトバンク』が12月19日、東京証券取引所第1部に株式を上場しました。

ソフトバンクグループは、資本金2,387億円、グループ企業1,552社を擁する日本最大級の企業の一つです。

携帯電話事業会社ソフトバンク上場


『ソフトバンクグループ』
今回、『携帯電話事業会社ソフトバンク株式を市場に売却したことで、新規上場として史上最大となる約2兆6000億円を市場から調達しましたが、肝心の『携帯電話事業会社ソフトバンク』株価は初日から公開価格の1500円を大きく割り込みました

上場初日終値は1282円(公開価格比14.5%減)という厳しい結果で、上場の祝福ムードが吹き飛ぶ厳しい船出に

 

携帯電話事業会社ソフトバンク』社長のコメント、株価下落は「残念」

「個人投資家から怒りや落胆の声が出ている。なぜこうなったのか」「公開価格は適切だったのか」。同日午後、市場がクローズしてから行われた会見では、携帯電話事業会社ソフトバンク』の宮内謙社長に対し、いきなりの株価下落を追及する質問が相次いだ。

宮内社長は株価下落について「残念だ」としつつ、「急にドコモショック、通信障害、中国のファーウェイ(の問題)、政府のプレッシャーなど色々と起きた」と想定外の事態について言及。ただ、上場先送りはまったく頭になかったといい、「厳しい環境の中で船出することで心を引き締めていく。ITのマーケットはビジネスチャンスの山だ」と強調した。

公開価格については、「85%の配当性向、5%の配当利回りをきちっと示すことが重要じゃないかという引き受け証券会社のアドバイスを受けて、1本の1500円にした」と説明するだけだった。

 

そもそも今回の上場にあたっては、ネガティブな材料が山盛りの中での上場でした。

8月には、菅義偉官房長官が「携帯料金は今より4割程度下げられる」と発言。業界への値下げ圧力が強まる中で、競合のNTTドコモが10月末、来年度以降の大幅値下げ方針を発表。

ソフトバンクは現時点で、サブブランドとなる「ワイモバイル」における一部値下げ方針を示しているが、今後は携帯電話事業会社ソフトバンク』ブランド本体も含めたさらなる値下げ拡大が不安視されている。
そうなれば当然、通信料収入は減少し『携帯電話事業会社ソフトバンク』の成長はおろか現状維持すら難しい状況になりかねません。

また、12月6日には、上場直前の最悪のタイミングで大規模な通信障害を起こしてしまいました
もっとも、原因はスウェーデンの通信機器ベンダーであるエリクソン側にあったとのことですが、この障害発生後の5日間で約1万件の解約があったという報道が、世界的株価下落という暗いニュースの中で『この大型IPO上場に掛けられていた期待』も一気にしぼんでいきました

中でも特にソフトバンク関係者が、「株価への影響が最も大きかったのではないか」とみるのが、ファーウェイ問題です。
米国政府は、中国政府が通信機器大手のファーウェイを通じて不正に情報収集するおそれを指摘して規制を強めており、カナダでファーウェイCFOを別件逮捕してけん制するなどファーウェイ(中国)包囲網を強めている。

これには米中による次期通信規格5Gの覇権争いが絡んでいることは周知のこと。
仮に米国企業が5Gを主導できたとしても情報保護に関しては安心名で出来ませんけれど(先日話題となった、フェイスブックによる他社への個人情報提供などが典型例です)ね。

日本政府も呼応して今月、本格的に“ファーウェイ排除”に動き出した。
近く、通信などの重要インフラを担う企業に対し、ファーウェイなど中国製品の除外を求めるとみられている。
12月10日には、政府が安全保障上の問題から2019年4月以降、情報流出のおそれがある機器を調達しないことを各省庁や政府系機関で申し合わせた。
さらに12月14日に行われた総務省の電波監理審議会では、次世代通信規格5Gの電波割り当て指針案の中で、通信会社に対し、この申し合わせに留意するように求めた。名指しこそしていないが、情報流出のおそれがある機器というのは、ファーウェイなどの中国製品を指している


中国製通信機器を使っているのはソフトバンクだけ


内の通信会社のうち、既存の
4Gの通信設備でファーウェイやZTEなど中国製を導入しているのは、ソフトバンク
一社のみ

一般的に通信の設備投資額は巨額だというイメージがある。
そのため、中国製通信設備を他国製に交換する費用などへの懸念が広がり、株価を大きく下押しする材料になった可能性がありそうだ。
通信各社は戦略上などの理由から、通信設備のベンダー別割合など、詳細は公表していない。
上場後の会見ではファーウェイ関連の質問が集中しました。

「不安を払拭する必要がある」(ソフトバンク関係者)という判断もあり、ソフトバンクは導入状況を初めて明かすなどの説明に追われる形となった。
その内容を額面通りに受け取れば、影響額はさほど大きくないことになる。
まず、今後の対応方針について宮内社長は「政府の本当のガイドラインを見極めたい」としつつ、「コアネットワーク(基幹回線網)の部分では欧州のベンダーに変えざるをえないと思っている」と述べた。

コアネットワークは通信のネットワークで最も重要な回線であり、情報が抜き取られるリスクを避けるには交換が必須となりそうな部分である。
そもそも携帯電話事業会社ソフトバンク』の設備投資額のうち、欧州ベンダーと中国ベンダーに分けた場合の比率は欧州が9割で、中国は1割に過ぎないという。つまり、すべての通信設備に占める中国製の割合はかなり限定的とのこと。

CTO(最高技術責任者)を務める宮川潤一副社長は、コアネットワークにおける中国製通信設備の交換費用の見通しについて、「数億円の前半レベルだ」と述べた。
仮にコアネットワーク以外の部分まで交換の必要が生じれば、費用が多少は膨らむかもしれない。実際、交換範囲の大きさによっては、中国製の通信設備自体が帳簿上の価値を失い、固定資産除却損失が数百億円発生する可能性はあるという。
ただ、これはあくまで会計処理の話で、
携帯電話事業会社ソフトバンク』にとって新たな金銭的な負担を伴うということではない…とはいえファーウェイ問題の懸念を除いても、ドコモなど他社の携帯通信料金の大幅値下げなどの影響は、これから顕在化してくるとみられる。

さらに通信障害対策への投資なども含めて、取り巻く環境が楽観できないことには変わりはない。

宮内社長は会見中、何度も「われわれは逆境に強い」という言葉を繰り返した。
また、「通信会社としてのネットワークのインフラビジネスは着実に伸ばせる。
その上に新規事業を追加して、これから大きく成長できる」とも述べ、シェアオフィス「ウィーワーク」の日本事業や、スマホ決済サービス「ペイペイ」などを例に挙げた。

ただこの言葉通りにならなければ、痛い目に遭うのは「配当性向85%、配当利回り5%」に惹かれて株を購入した個人投資家たち。いくら配当性向を高くしても、多額の含み損を抱えることになれば本末転倒です。

波乱の上場を終えた
携帯電話事業会社ソフトバンク』は今後、市場の評価を覆すことはできるでしょうか?


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結局、『携帯電話事業会社ソフトバンク』上場で誰が得をしたのか?


今回、『ソフトバンクグループ』は携帯電話事業会社ソフトバンク』を上場し、多くの投資家が新規上場株式を買い、『ソフトバンクグループ』に大きな資金が流れました。

成長性を見込むことが難しいと想像される携帯電話事業を誰もがそっぽを向く前に『ソフトバンクグループ』から切り離し、高値で上場することにより、グループからパージした形で処理することが出来たのです。

また、配当性向、配当率を高くすることで株主である『ソフトバンクグループ』に携帯電話事業会社ソフトバンク』の利益を流すことが出来ます。

これは最近自動車産業で大きく取り上げられた、日産株式の高配当を流すことでルノー本社収益の大きな柱となっていたことと酷似します。

この過去の事例に倣って考えてみると、『携帯電話事業会社ソフトバンク』は、株価の上昇は見込めないものの、高配当は維持するという結果が予想されます。

結局得をしたのは『ソフトバンクグループ=孫社長』と言えるでしょう。

※投資判断は自己判断自己責任です。

 
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